平凡社 世界大百科事典

可溶化

水に難溶または不溶の物質が,その系にミセルを形成し,ミセルの状態で界面活性剤は親水性基を表面に,また親油性基を内側に配向させている。この水溶液中に不溶な物質,たとえば炭化水素等を加えると,それはミセル内部に包まれて見掛け上均一な溶液になる((1)非極性可溶化)。高級アルコール,脂肪酸等の場合はミセルを形成する活性剤分子の間に入りこみ,混合ミセルを形成する形で可溶化する((2)極性-非極性可溶化)。一方,水溶性染料の場合はミセル表面の親水性基部分に吸着されるようにして可溶化される((3)吸着可溶化)。非イオン活性剤の場合はミセル表面にはポリエチレンオキシドが配向しているが,この鎖の中にとりこまれる形((4))もある。このように可溶化は被可溶物や界面活性剤の種類により四つのタイプに分類される。可溶化量は一般に(4)>(2)>(1)>(3)の順である。可溶化の特徴は混合溶媒系の場合と異なり,少量の界面活性剤の共存で可溶化量が急激に増大することである。可溶化には安定なミセル形成能の高い構造をもった活性剤がよい。高分子界面活性剤も可溶化能の高いものが多い。可溶化は乳化とともに,食品,医薬,農薬をはじめ各種工業材料に至るまで広く利用されている。また生体内で種々の非水溶性の物質が腸膜を通りうるようになるのは胆汁による可溶化の現象である。

内田 安三