平凡社 世界大百科事典

夢遊病

歯ぎしりや夜驚,夜尿などと同様に,睡眠時異常現象,パラソムニアparasomniaの一つで,夢中遊行とか夢遊症ともいわれる。夜中に家の中や路上を徘徊し,ときには裸で歩いたり,木に登ったりするが,また自分のベッドに戻る。両親や異性のベッドに入ることもある。翌朝はなにも覚えていない。持続は20~30分のことが多い。夢のなかの行動のようだがレム睡眠や夢とは関係なく,ノンレム睡眠の第3段階ないし第4段階などの中程度睡眠,あるいは深睡眠で始まる。夢中遊行中はしだいに低振幅速波の第1段階の脳波パターンになる。神経症的な葛藤があって,それに対する反応として起きる。夜尿を合併することが多く,素因を認めることがある。子どもや故郷を離れて寮生活をする青年男子に多い。男女比は4対1で,出現頻度は1~6%とされる。治療としては,葛藤を解決することが重要であるが,ベンゾジアゼピン系の抗不安剤を日中から投与し,就寝前に同系統の睡眠導入剤を投与することも有効である。→睡眠

石黒 健夫