平凡社 世界大百科事典

ソプラノ

最高声域。普通は女声のおよそ1点ハから2点イまでの音域をいうが,女性の登用が禁じられていた中世・ルネサンスの教会多声音楽では,高いテノールやベル・カントは,プリマ・ドンナたるソプラノの声の美しさと技巧を極限にまで推し進めた。

 一方,18世紀中葉以降に深みのあるソプラノとして分立した声種メゾ・ソプラノmezzo sopranoは,およそイから2点トにわたる。年配の婦人や女主人公の乳母あるいは腹心の友といった役柄に多くあてられていたが,19世紀の作曲家たちがこの声種の劇的表現力に着目,主役に比肩する重みを与えた。それとともに音域も上方に伸張され,ソプラノ・ドラマティコとの区別がつけにくいような例(ワーグナー《ラインの黄金》のフリッカ,ベルディ《ドン・カルロス》のエボリ公女など)もある。

 ソプラノの語は,同属楽器のなかで最高音域を奏する楽器(ソプラノ・リコーダー,ソプラノ・サクソフォーンなど)を示す場合にも使われる。

小林 緑
図-音域
図-音域