平凡社 世界大百科事典

音速

音が媒質中を伝搬する速度。微小振幅の音波については,媒質の種類にはよらず,媒質の密度をρ0,その体積弾性率を

(γは定圧比熱と定容比熱の比)という式を出した。これによると空気中の音速はc=331.5m/s(0℃)となり,実測値に非常に近くなる。ただし,可聴周波数以下の非常に低い周波数になると,圧力変化が等温変化に近くなるので,音速はニュートンの式による値に近づく。実用的には空気中の音速は温度をt℃として,c=331.5+0.6t(m/s)で求められる。

 音速の式からわかるように,密度の小さい気体中では音速は大きくなり,例えば水素中の音速は1270m/s(0℃)となる。また液体の体積弾性率は気体のそれよりも非常に大きいので,一般に音速が大きく,水中では約1430m/s(15℃)となる。固体の場合には,体積弾性のほかに形が変わることに対しても弾性をもっているために各種の弾性波があり,それぞれに応じた音速をもっている。無限に広い固体の中での縦波の速度は

となる。ここでEはヤング率,ρは密度,σはポアソン比である。ゴムのような弾性体を除いて,一般に固体中の音速は非常に大きい。なお,流体の速度をq,その流体中を伝わる音速をcとするとき,Mq/cマッハ数という。

子安 勝