平凡社 世界大百科事典

宇宙服

宇宙環境における人間活動用の服。気圧,温度の維持,酸素や水蒸気の補給,放射線・宇宙塵からの保護機能をもつ。アポロ計画までは宇宙船内の気圧が比較的低く設計されていたため,船外活動用の宇宙服のほか,体液沸騰防止を目的とした圧力服が,船内活動用宇宙服として用いられた。この船内活動用宇宙服は,ナイロンやテフロンなどの合成繊維やネオプレンを塗布して気密化したナイロンなど6層からなり,船外活動用宇宙服は,さらにこの上にアルミ箔を張ったナイロンやテフロン,ガラス繊維などを合計18~20層も重ねて,宇宙線および微小流星塵の衝突による破壊を防いだ。船外活動用下着は,細いナイロンチューブを網の目のように張りめぐらしたもので,そこに冷却水を通して活動による体温の上昇を防ぐ。ヘルメットは視界を保つため一部が透明となっており,通信装置が取り付けられている。スペースシャトルではオービターやスペースラブ内は地上と同じ環境になっているため,乗員は特別の服を着用する必要はなく,宇宙服は船外活動専用に搭載される。船外活動用の宇宙服は,基本的にはアポロ計画時のものと同じであるが,大きく変わった点は,背負式であった生命維持装置が宇宙服に作り付けになり,マイクロコンピューターが内蔵されて,常時,生命維持システムを制御するようになったことである。

山中 龍夫