平凡社 世界大百科事典

スペックル干渉法

口径Dの天体望遠鏡の空間分解能は波長λの光に対してλ/Dであり,例えば口径5mのヘール望遠鏡では可視光で0.02秒角の程度である。しかし,天体からの光が地球大気を通過する際には多数の乱流塊(直径10cm程度)による屈折を受け,たとえ点光源といえども1~10秒角のぼやけた像になってしまい上記理論的分解能は得られない。しかるに1970年にフランスのラベリエA.Labeyrieは,望遠鏡による天体の直接像を0.01秒程度の短時間で記録することにより,激しく変動する乱流塊の効果はいわば凍結され,異なる乱流塊を通った天体からの光は,種々の位相で加え合わさる際の干渉効果によって斑点を生ずるが,これは,望遠鏡の理論的分解能で見た天体の像にほかならないことに着目し,これらの斑点の画像処理から理論的分解能で天体の空間情報が得られることを示した。これをスペックル干渉法という。スペックル干渉法はその後において恒星視直径の測定や連星系の軌道決定に著しい成果をあげたが,さらに従来点光源としてしか観測できなかった恒星や銀河,とくにクエーサーなどの二次元像を観測できる可能性を具体的に示すものとして重要な意義をもつものである。

辻 隆