平凡社 世界大百科事典

スピライト

海底噴出した玄武岩が低度の変成作用や海洋底変質作用を受けてできた岩石。もともとの玄武岩の構造や組織はそのまま変わらずに,Caに富む斜長石が曹長石に,カンラン石や輝石,あるいはガラスの部分が,緑泥石,緑レン石,アクチノライト,粘土鉱物に置きかわる。そのために岩石の化学成分はNa,Fe2O3や水分が増加し,Ca,Mgが減少する。古い時代に海底噴出した枕状溶岩はほとんどスピライトに変わっている。かつてはスピライトは変質岩ではなく,Naに富む特殊なマグマ(スピライトマグマ)から生じたという説があった。その後,低度変成作用や海洋底玄武岩の研究が進み,玄武岩からスピライトへ連続的に変化していること,実験的にも海水との反応で玄武岩がスピライトに変わることが実証された。日本の第三紀グリーンタフ層の枕状玄武岩,中生代地向斜堆積物中の枕状玄武岩の多くはスピライトに変わっている。

小松 正幸