平凡社 世界大百科事典

精紡機

紡績の最後の工程で粗糸またはスライバーを引き伸ばして細くし,かつ撚り(より)を加えて糸とし,ボビンまたはチーズに巻き取る機械。その多くは何対かの表面速度の異なるローラー間で粗糸を引き伸ばした後,スピンドルの高速回転を利用して撚りをかけるもので,連続式と間欠式とがある。引き伸ばす割合は綿紡ではふつう15~35(ハイドラフト)で100~150以上(スーパーハイドラフト)の場合もある。最近では巻き終わったボビンを空ボビンと自動的に交換するオートドッファーを備えているものが多い。連続式には多くの加撚(かねん)方法がある。(1)フライヤー精紡機 最も古いもので,現在は麻糸または太い羊毛の紡績に用いられる。(2)キャップ精紡機 梳毛(そもう)糸紡績用の一部で用いられ,生産能率は高いが,上質の糸の紡績に適しない。(3)リング精紡機 生産能率が高く,取扱いも容易で各種紡績に最もよく用いられる。他にポット精紡機あるいはコップ精紡機(特殊用)などがある。間欠式のミュール精紡機は生産能率が低く,日本では高級梳毛糸,紡毛糸以外には使用されていない。また,スライバーの繊維をいったんばらばらにして細くし,切り離した状態で撚りをかけて糸を作るオープンエンド方式(ブレークスピニング)もあり,ローター式,空気加撚式,吸着加撚式,静電式,空気渦流式などがある。いずれもスーパーハイドラフトに相当し,生産性は高いが,高級細糸にはまだ使用されていない。そのほか,糸の長さ方向に交互に撚りを与え,あるいは交錯させて糸を作る無撚糸紡績法および結束紡績法による装置もある。(図参照)

近田 淳雄
図-各種精紡機の加撚方法
図-各種精紡機の加撚方法