平凡社 世界大百科事典

脊髄小脳変性症

臨床的には運動失調を呈する原因不明の病気で,小脳およびそれに関連する小脳求心系・遠心系に属する神経系を選択的に侵す系統変性疾患群。しばしば遺伝性であるが,孤発生の場合もある。侵される神経系の組合せにより,臨床病理学的に多くの病型に分けられているが,通常は,小脳のみが侵される小脳型,脊髄のみが侵される脊髄型,および脊髄と小脳の双方が侵される脊髄小脳型の三つに大別される。

 小脳型としてはホームズHolmes型の家族性小脳萎縮症や,晩発性皮質性小脳萎縮症があり,脊髄型としては家族性痙性対麻痺,フリードライヒ型失調症Friedreich's ataxia(フリードライヒ病)が知られている。

 脊髄小脳型は数多く,オリーブ橋小脳萎縮症,脊髄橋萎縮症,マリー型失調症Marie's ataxiaなどが含まれ,また線条体黒質変性症や淡蒼球ルイ体萎縮症,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症などもこれに属する。これらのすべてについて,明らかな病因,病態発生は不明であり,確実な治療法もない。

岩田 誠