平凡社 世界大百科事典

気門

節足動物の呼吸器官である気管が外界に通じる開口を気門という。陸生昆虫類は基本的に10対(胸部の体節側面に2対,腹部側面に8対)の気門をもっている。ウジは体の前後端に2対,ボウフラは後端に1対あるだけであり,全く気門がなくて皮膚呼吸をする昆虫もいる。開口部のまわりには多少,突出した覆いがあり,これに体表の陥入によってできた気門室が続く。その覆いで空気の出入りを調節するものもあるが,多くの昆虫の気門室には一つまたは二つの弁があって,それに付着する筋肉の収縮開張によって気門を開閉する。無翅(むし)昆虫やクモの気門は単純な穴で,表皮から直接気管に連なっている。気門から入った空気は気管を通って各組織に運ばれ,ガス交換ののち再び気管を通って体外に出る。バッタは腹節を上下に伸縮して,前方にある4対の気門から空気を吸い込み,後方の6対の気門から吐き出すという一定の流れのある呼吸運動を行う。

笹川 滿廣
図-昆虫の気門
図-昆虫の気門