平凡社 世界大百科事典

脊椎分離症

椎骨は前半分の椎体と後半分の椎弓とに分けられるが,椎弓の一部(上関節突起と下関節突起との間)で骨性連絡が欠如している状態を椎弓の分離と呼び,これに基づく症状があれば脊椎分離症という。原因としては先天性素因と後天性の疲労骨折説があり,家族内多発例や人種差など前者に関連した事実もあるが,青少年期の激しいスポーツにより多発するなど後天説を裏づける証拠も多く,より有力である。大多数は第5腰椎にみられ,日本の成人の約5%に発生する。

 椎弓分離のみでは通常無症状で,疼痛の原因はほかにあることが多いが,ときに分離部の椎弓の異常動揺性によると思われる,腰痛や下肢痛が生ずる。症状の原因が椎弓分離によるときには,生活上の注意やコルセットなどの外固定により局所の負担を軽減し,適宜薬物療法を用いる。とくに青少年期に発生した場合には,スポーツを一時中止させ,外固定を行うことにより骨癒合が得られることがあるので,慎重な治療が望ましい。→腰痛症

江 光男