平凡社 世界大百科事典

スポーツクラブ

同じスポーツを愛する人たちによって結成された人為的・自発的な集団。出入りが自由で開放的なところにその特徴がある。近代的なクラブは,17世紀のロンドンで,共通の目的をもつ人々がコーヒー・ハウスの一室に定期的に集まったのが発端といわれ,政治クラブの性格をもつ場合が多かったが,やがて,趣味,研究,奉仕活動などさまざまな分野で共通の目的をもつ人たちの自発的・自主的集りを意味するようになった。イギリスのスポーツクラブは18~19世紀に発達し,やがて各種スポーツの発展とともにヨーロッパ諸国に広がったが,当初は有閑階級の人たちの社交の場という性格が強かった。このようなクラブの共通の特性として,(1)定期的に集まる,(2)会員の互選した役員によって運営される,(3)入会はなんらかの形で全会員の承認を要する,(4)経費は会員が均等に分担すること,などがあげられる。今日では広く一般に普及し,住民の社交の場ともなっているが,この特性を伝統的に受け継いでおり,地域社会における住民の組織としてスポーツ組織を形成する最小単位であり,スポーツの基礎となっている。日本ではスポーツの導入,普及が学校を中心に行われたため,スポーツクラブは発達しなかったが,1970年代に入ってから,スポーツ人口の増大と関連して,急速に増加の傾向にある。しかし,日本のクラブ育成は行政指導型の場合が多く,チーム=クラブの考え方があり,集団主義的傾向が強い。また,かなり高額の入会金や会費を必要とする営利的なスポーツクラブがみられる。地域社会を基盤として,広く一般の人々の生活の中にスポーツを保証するために,公的スポーツ施設を中心とする自発的・自主的クラブづくりが重要な課題となっている。

粂野 豊