平凡社 世界大百科事典

スプリンクラー

(1)消火設備の一つ。建築物の天井などに設けられ,火災時に自動的に水を噴出する装置。散水部,配管部,加圧装置部からなっている。散水の方式により,(a)散水する先端部(スプリンクラーヘッド,または単にヘッドともいう)まで加圧された水が常時満たされていて,火災時の加熱によりヘッドの栓の役目をしている合金,プラスチックなどが溶け,そこから散水する湿式閉鎖型,(b)配管内に水のかわりに加圧した空気を充てんし,火災時の加熱でヘッドの栓が溶け,配管内の空気が流出し,配管内の空気圧の低下により特殊構造の弁が開いて配管内に水が送水され,ヘッドより散水する乾式閉鎖型(寒冷地で配管内に水を入れておくと凍結するおそれのある場所に設けられる),(c)ヘッドの散水口が常時開口しており,配管内は通常からで,火災時に自動火災感知器の作動,または手動により加圧送水装置が起動して散水する開放型(天井が高い舞台部分などに設けられる)の3種がある。→消火設備

松田 守弘(2)果樹や芝生の散水灌漑に用いられる機械装置。ノズルから高圧で噴出される水の反動を利用して,ノズルの噴出方向を自動的に回転させながら散水するものである。スプリンクラーは散水器とこれに水を圧送するポンプ,送水用配管および原動機よりなる。散水器は左右2個のノズルをもったY形の噴射管本体と反動アームよりなる。片方のノズルから噴射された圧力水が反動アーム端の反動板に当たると,その圧動でノズルがわずかに回転する。次いで反動アームと噴射管の間にあるばねの復元力により反動アームはノズルのほうへ戻り,再び同様の動作を繰り返す。ノズルは1分間に1~2回のゆっくりした速さで回転し,円形状の範囲内に散水する。2個のノズルは直径3~10mmあり,それぞれ遠近の散布範囲を受けもつ。散水器にはノズル口径により1kgf/cm2以下で使う低圧用から7kgf/cm2までの高圧用があり,散水範囲直径も10mくらいの小規模のものから,60m程度の範囲をカバーするものまである。
岡本 嗣男