平凡社 世界大百科事典

スクアレン

多くのサメ,とくにフジクジラ,カラスザメ,カスミザメなどの深海性のサメの肝油の不ケン化物などに存在する不飽和炭化水素。1916年辻本満丸によって発見された。スクアレンは動物界から初めて取り出されたイソプレン系化合物で,その生合成経路の面からもきわめて興味あるものである。構造的には,図の構造式に示すような6個のイソプレン骨格が分子中央で対称に,かつ各3分子が頭-尾結合をしたものである。

 無色かつ無臭で,沸点270~275℃(15mmHg ),凝固点-75℃,比重d415=0.8578~0.8591の油状物質。広い温度範囲で油性があり,かつ生体への吸収性もよく,化粧品,医薬品の基材として用いられる。また精製スクアレンは高血圧防止用肝油として供される。水素添加したものは粘度特性の優れた耐寒性潤滑油の原料にも用いられる。

内田 安三
図-スクアレンの構造式
図-スクアレンの構造式