平凡社 世界大百科事典

烏賊角

イカ釣りに使う擬餌針の一種。10cm前後(小は5cmぐらいから大は15cmぐらいまである)の中太の円筒形の金属棒の下端に,針を十数本傘状にとりつけ,糸でまいたものが多く使われた。地方により,対象とするイカの種類によって,材料,仕様はさまざまである。〈つの〉と言いながら動物の角に限ったわけではなく,むしろ竹,キリなどの木,シンチュウ,鉄,鉛などの金属がよく用いられた。エビあるいは魚に似せるため,またイカを誘うために色のついた絹布で巻いたり,イカ肉(生あるいは干物)を巻きつけたりする。針を2段につけることもある。現在用いられるのはプラスチック製で,下部に鉛あるいはステンレス鋼をつけ,その下に針をとりつけてあるのが普通。手釣り,さお釣り,ローラーを使う動力釣り,自動釣り機による釣りなどに用いられる。昼間の釣りもあるが,多くは夜間,水上の集魚灯をつけ,あるいは水中灯をつけて,イカを集めて釣る。手釣り,さお釣りの場合は道糸につける烏賊角の数は数個であるが,動力を利用する場合は数十個をつける。これを水中で上下動させ,寄ってきたイカを引っかけて釣りあげる。

清水 誠