平凡社 世界大百科事典

シラー

ユリ科ツルボ属Scillaの秋植え球根(鱗茎)植物。ツルボ属はヨーロッパ,アジア,アフリカなどに分布し,約100種もあり,日本のツルボもこの仲間である。花も姿もさまざまだが,ヒアシンスを小型にしたようなシラー・シビリカS.sibirica Hawやシラー・ヒスパニカS.hispanica Mill.,星形の小花が傘形に密生して咲くシラー・ペルビアナS.peruviana L.がよく知られていて,春咲球根類のわき役ともいえるかれんな花をつける。草丈は低いもので10cm,高いもので30~40cmとなり,開花期は3~5月,花壇,鉢植え,庭の一隅によく調和し,水栽培も可能な種類がある。紫,濃青,青,桃,白と花色が豊富なことと,球根は皮がなく小さなジャガイモに似ているのが特徴である。シラーは耐寒性が強く,日当りでも半日陰でもよく育つ。10月に密植にして植え込み,排水に留意する。繁殖は旺盛で,2~3年植えたままにすれば,みごとに群生する。中国産のシラー・シネンシスS.sinensis(Lour.)Merr.は薬用とされる。また日本産のツルボは,路傍や耕作地の雑草で,初秋に桃色の花を多数つける。

水野 嘉孝