平凡社 世界大百科事典

スリンピ

インドネシア,ジャワの宮廷舞踊の一つ。16世紀末からジャワ中部・東部を支配したマタラム・イスラム王国の秘儀として,宮中奥深く処女たちによって舞われていたもので,近年まで一般人は目にすることができなかった。第3代の王スルタン・アグンにより創作されたといわれ,18世紀中葉王国がスラカルタとジョクジャカルタの2王家に分裂して以来,それぞれ独自の発展をとげた。踊りは4人の女性たちによって踊られるもので,非常にゆっくりとしたきわめて典雅でかつ複雑な振付がなされている。女性の斉唱,太鼓といくつかの青銅製打楽器ないしは大編成のガムランによって伴奏され,歌詞は宗教性と洗練されたエロティシズムを兼ね備えたものである。

田村 史子