平凡社 世界大百科事典

安定化政策

市場機構を中心に運営されている経済社会は,経験的にみて,たえず経済変動(景気変動)をくり返してきた。このような経済変動は,多くの場合好況と不況のくり返しとして表れ,好況時にインフレーション,不況時には失業という経済問題を伴ってきた。安定化政策とは,このような経済変動を平準化するために政府がとる政策を指す。1930年代以前には,この種の発想法がとられることはなく,いわば経済変動は不可避と考えられてきたが,ケインズの《一般理論》(1936)以来,安定化政策が経済政策のなかで重要な地位を占めると考えられるに至った。

 安定化政策の手段としては,財政と金融が用いられることが多く,とくに財政を通ずる安定化政策をビルトイン・スタビライザーと呼ばれている。70年代以降,安定化政策に対して,それが微調整(ファイン・チューニング)として行われることは,政策のおくれなどからかえって経済を不安定化させるとの見方が出され,裁量的政策に対する批判が強まっている。どの程度まで安定化政策を重視するかは,経済政策における重要な争点の一つとなっている。

貝塚 啓明