平凡社 世界大百科事典

標準光源

光,放射および色の測定において,ある量の一定値を維持し,測定の基準として用いられる光源。例えば光度測定には光度標準電球を用いる。これを指定の電圧または電流で点灯したとき,特定の方向の光度値が与えられているので,被測定光源の光度はこれとの比較測定で求めることができる。光度標準電球は口金を下にした姿勢で用い,フィラメントは鉛直な一平面内にM字形に張られていて,この平面に垂直な方向,すなわち水平方向の光度値が与えられている。一般にはその色温度の値も与えられているから色温度の標準としても用いられる。光源の全光束の測定には全光束標準電球が用いられる。その構造は一般照明用の白熱電球とほぼ同じであるが,透明バルブを使用し,フィラメントの形状やその支持方法にくふうがこらされている。測色では,物体の色はそれを照明する光源によって変化するので,物体色測定用標準光源として一般に国際照明委員会(CIE)が規定した標準光源を用いる。これには白熱電球を代表する標準光源A(色温度2856Kで点灯した白熱電球),これに特定のフィルターをかけて直射太陽光を代表させた標準光源B(色温度約4870K),同様に別の特定のフィルターをかけて昼光を代表させた標準光源C(色温度約6770K)がある。このほか実測の昼光の分光分布に基づいてより精密に昼光を代表させた標準の光D65(色温度約6500K)があって,分光分布が数式により与えられており測色計算の基本として用いられているが,これを実現する光源はまだ研究中である。分光放射測定用の標準光源としてはプランクの放射則に従う黒体炉がもっとも基本的であるが,可視域では白熱電球を代りに用いることが多い。赤外域では炭化ケイ素の白熱体など,紫外域では水素,重水素,キセノン,水銀,アルゴンなどの中での放電を利用した放電ランプやアーク灯を安定化したものなどが用いられる。

大場 信英