平凡社 世界大百科事典

定常波

振幅,周期,波長がそれぞれ等しい二つの正弦波が,図のように一つは右へ,一つは左へ進んで重なり合うと,合成された波は,二つの波がつねに打ち消し合って振動しない場所(節)と,二つの波がつねに強め合って振動のもっとも激しい場所(腹)とが交互に現れ,全体としては右にも左にも進まない。このような波を定常波,または定在波という。これに対してある方向に進む波を進行波progressive waveと呼ぶ。定常波が実際に現れるのは,多くは一端,または両端の限られた媒質の中に生じた進行波(しんこうは)が,媒質の境界で反射され,反射波と入射波とが重なり合う場合である。例えば水槽内の水面の1点を周期的にたたいて継続的に波を送り出し,周期を適当に調節すると水槽内の水面に定常波が生ずるのを見ることができる。弦楽器の弦や管楽器の管内の気柱の固有振動,棒や板,膜などの固有振動は,定常波が発生した状態と考えてもよい。音波や電波が壁で反射されるときにも定常波ができることがある。例えば壁に向かって一定の高さ,一定の強さの音を送り出しておいて,壁に向かって歩いていくと,一定の間隔で音の強いところと弱いところのあることがわかる。→波動

有山 正孝
図-定常波
図-定常波