平凡社 世界大百科事典

統計量

ある一定の確率法則に従っていろいろな値をとる変数を確率変数という。たとえば,母集団から無作為にとったn個の標本x1,……,xnは母集団分布に従うn個の確率変数である。統計的推測には,

など,x1,……,xnから作った少数の指標が用いられる。このxSのように確率変数xiの関数で未知パラメーターを含まないものを統計量と呼ぶ。統計量もまた一つの確率変数であって,その確率分布は元の確率変数の分布から導かれる。とくに正規分布N(μ,σ2)の場合には,x1,……,xnの代りに二つの統計量xSを知ればμ,σ2の推測のための情報が失われないことが示される。このように1組の統計量が未知パラメーターに関する情報をすべて含むとき十分統計量という。標本全体x1,……,xnも1組の十分統計量だから,要素数最小の十分統計量の組という概念が重要である。これを最小十分統計量という。

広津 千尋