平凡社 世界大百科事典

恒星干渉計

光の干渉を利用して微小な星の視直径を測定する器械。天体望遠鏡の空間分解能は地球大気の乱流のため1秒角程度に制限されるので,これよりも小さい恒星などの天体の大きさを直接測定することはできない。恒星干渉計は光の干渉を利用して恒星の大きさを測定する方法で,1868年にフランスのフィゾーA.H.L.Fizeauにより提案された。すなわち天体からの光を適当な間隔に置いた二つの鏡(図のM1およびM4)で受けた後重ね合わせると,光の波動性を証明したヤングの実験と同じ原理で,天体が大きさをもたない点光源であれば図のdに明りょうな干渉縞が観測される。しかし天体が大きさをもつとその異なる部分から出た光による干渉縞が異なる位相で重ね合わされるため,干渉縞は全体として見えにくくなる。このような干渉縞のコントラストの度合の解析から逆に天体の大きさを求めることができる。この方法の実際の応用は再び地球大気の乱流のため困難をきわめたが,1920年にマイケルソンA.A.MichelsonとピースF.G.Peaseはウィルソン山天文台において初めてこの方法で恒星視直径の実測に成功した。この観測では赤色超巨星ベテルギウスの視直径が0.047秒角と測定され,当時知られていたこの星までの距離を用いてこの星の半径が太陽半径の300倍にも達することが示された。その後ピースにより30年代にかけていくつかの赤色巨星の視直径の測定が行われたが,上記困難のため長い間それ以上の進展はなかった。70年代になって新しい技術的進歩をとり入れてこの方法の再生が試みられている。恒星視直径の測定には,このほか星からくる光を二つの凹面鏡で受け,光電管で増幅し各凹面鏡の出力強度の相関を測定する強度干渉法,スペックル干渉法,月による星食を用いる方法などがある。

辻 隆
図-恒星干渉計
図-恒星干渉計