平凡社 世界大百科事典

立体配座

単結合のまわりの回転や,窒素原子などの反転によって生じる,原理的には無数に存在する分子内の原子の空間配列のそれぞれをいう。多くの場合,エネルギーが極値(極大または極小)をとるものだけを問題にする。同一平面構造式で表すことができても立体配座が異なる場合,それらはたがいに立体異性の関係にある。この種の異性を配座異性という。単結合のまわりの回転によって生じる異性を回転異性ということもある。典型的な配座異性としてはエタンのねじれ形と重なり形,ブタンのアンチ(トランス)形とゴーシュ形,シクロヘキサンのいす形と舟形などがある。一般に配座異性体間のエンタルピーは小さく,かつその間のエネルギー障壁も低い(エタンで約3kcal/mol)ので,室温で異性体を単離することは一般に困難である。窒素の反転によって生じる二つの立体異性体は,定義上立体配置の異なるエナンチオ異性体の関係にあるが(立体化学

竹内 敬人