平凡社 世界大百科事典

臭腺

動物の強いにおいのある分泌液をだす腺。脊椎動物では皮膚腺の特殊化したもののことであり,その所在はさまざまであるが,においを発する物質を分泌することからこのように呼ばれる。よく知られている臭腺としては,哺乳類ではイタチ,スカンクのフェロモンとして機能していると考えられている。また臭腺の分泌するにおいの物質のなかには,ジャコウジカの麝香やジャコウネコの麝猫香(じやびようこう)のように香料の材料として人類に利用されているものもある。

 昆虫では,半翅(はんし)目のカメムシ類が,悪臭を発することでよく知られている。成虫は,胸部の後脚の根元に開口する1対の分泌腺を持っている。ゴミムシ類は,別名ヘッピリムシと呼ばれるように刺激性の悪臭のあるガスを腹端から噴射する。カメムシの臭腺分泌物には主にアルデヒド類が,またゴミムシ類の分泌物には脂肪酸,キノン,フェノールなどが確認されている。多くの昆虫が刺激されると反射的に悪臭のある分泌物をだすのは,敵の攻撃から身を守るための防御行動で,臭腺からでる分泌物は防御物質であると考えられている。

佐藤 英明+高橋 正三