平凡社 世界大百科事典

ストロン

匍匐枝(ほふくし)ともいう。高等植物の茎の基部から枝分れして細く長く伸び,先端に新しい個体をつくる芽をつけ,また途中で地について根を生じるもの。オランダイチゴ,ユキノシタなどの例が顕著である。ストロンといわれるものは,長く分出した枝のうちでとくに細いものであるが,構造としては茎で,その先端に無性芽をつけるものであるから,いわゆる匍匐茎との差がしだいに不鮮明になってくる。また,ストロンは地上を匍匐することが多いが,コヤブランのように地下にある例もある。見かけの類似から菌類のクモノスカビの気中菌糸もストロンといわれるが,藻類でも,たとえば緑藻類の土壌藻Fritschiellaの匍匐糸などは,これと同じ類のものということができる。なお,動物では匍匐根,走根ともいい,定着性動物の匍匐枝状の管状構造をさす。狭義にはコケムシ類などのものをいうが,広くは,ヒドロ虫類のヒドロ根やウミタル,サルパ類の花茎をも含む。

岩槻 邦男