平凡社 世界大百科事典

石橋

橋桁を石材でつくった橋。石工橋あるいは石造橋ともいう。ごく短支間の場合には石の板をかけ渡したものもあるが,もっともよく用いられたのはアーチ構造としてである。石は圧縮には強いが引張りにはさして強くなく,接着困難,重いなどの欠点があるため,アーチとしての利用は賢明な方法であった。とくに著名な古代ローマ時代の石造アーチ橋は力学の理にかなったまことに堅牢なつくりで,現在でもヨーロッパ各地にそのいくつかが残っている。その後この技術は中世ヨーロッパに継承されたほか,早くから中国に伝えられ,やがて日本にも伝来して,長崎の眼鏡橋(1634完成)をはじめ多くの石造アーチ橋が九州各地につくられた。琉球にはそれ以前にも中国風の石造アーチ橋があったという。しかし石造アーチは40m以下の支間長にしか適用できず,19世紀以降はより優れた構造材料であるコンクリートの出現により,庭園橋ぐらいにしか用いられなくなった。ただ中国では石造アーチの伝統的な工法が今なお残されている。

伊藤 学