平凡社 世界大百科事典

ストーン・サークル

エーブリーや,フランスのエル・ラニック,カルナックのものが著名である。ヨーロッパ以外でも,西南アジアのシナイ,アラビア,イラン,インドのデカン高原やアッサム地方,南シベリアのミヌシンスク地方,中国の甘粛省,日本の北海道,東北地方などに存在する。

 ストーンヘンジのストーン・サークルは,その構造から太陽崇拝に関係があるとされているが,集合墓地としても使われている。その他の多くの例では,ドルメンや石室墓を伴い,埋葬に関係のある遺構といえる。インドのブラフマギリ,ミヌシンスク地方のカラスク文化の墳墓群,あるいは秋田県の大湯環状列石などはいずれも墓と結びついている。ただし,単に聖域を取り囲む垣のような施設と見られるものもあり,性格は一様でない。ヨーロッパ大西洋岸に分布するストーン・サークルや,中国甘粛省の斉家文化に属するものは,新石器時代の所産と考えられるが,カラスク文化は青銅器時代であり,インドのストーン・サークルは初期鉄器時代になって作られた。年代もまた多様なのである。

山本 忠尚

日本

縄文時代の後・晩期に多くみられ,地域的には,北海道,東北地方の発見例が多い。北海道のストーン・サークルには,大型の立石列が大きく円形ないし楕円形にめぐり,この区画内に敷石の施された石棺状の墓壙を有するものと,小規模な円形にめぐる立石列をもち,この内側に配石が施され,さらにその下部に墓壙を有するものなどがある。前者は環状石籬といわれているもので,忍路(おしよろ)地鎮山遺跡や日吉遺跡,さらに内部は未調査であるが,長径30m,短径22mの大規模な立石列を有する忍路土場遺跡などが著名である。後者のような小規模なものは,数基まとまって発見されることが多く,西崎山遺跡,音江遺跡北側,北栄遺跡などに発見例がある。このような北海道のストーン・サークルは,日本海沿岸の余市地方から日高地方に分布することが知られ,墳墓の一種と考えられている。

 東北地方では大湯環状列石の名で知られる万座遺跡,野中堂遺跡が著名である。両遺跡とも二重に石がめぐっているストーン・サークルと考えることもできるが,実際にはいわゆる日時計形を含む各種の小配石が二重の円輪内に集合しているものであり,北海道のものとは配石のあり方が異なっている。配石下部からは墓壙の可能性が考えられる土坑が検出されている。ストーン・サークルではないが,ほかに大規模な配石遺構として山梨県の金生(きんせい)遺跡(縄文時代後・晩期)が注目される。

鈴木 保彦