平凡社 世界大百科事典

貯蔵組織

柔組織の一つで,養分を蓄える組織。ジャガイモの塊茎,サツマイモの塊根,タマネギの鱗葉など,貯蔵組織は茎,根,葉のいずれにも存在する例がある。また,一般に果実の果肉,種子の胚乳も貯蔵組織である。貯蔵物質はデンプンが多いが,糖類やタンパク質のこともある。貯蔵組織に蓄えられた養分は,ジャガイモの塊茎などの場合,栄養増殖に利用され,また胚乳の場合は幼植物の初期の生長のために使われる。果肉は鳥などの餌となって,種子の散布に間接的に役だつこともある。植物の貯蔵組織に蓄えられた養分は,その植物自体のためだけでなく,ヒトを含めて動物一般の栄養源として重要な意味をもっている。多肉植物などによくみられる貯水組織water storage tissueも,養分を蓄えるわけではないが,ひろい意味では貯蔵組織の一つとして扱われる。貯水組織は水を蓄えていて乾燥期に役だてるもので,乾燥しやすい地域の植物によくみられる。

原 襄