平凡社 世界大百科事典

ウミツバメ

ミズナギドリ目ウミツバメ科Hydrobatidaeの鳥の総称。この科の鳥は外洋にすむ小型の海鳥で,細長い翼と脚を巧みに使って波の間をぬけ,海の上を歩くように飛ぶ。海の表面に浮上した動物プランクトン(甲殻類)をくちばしでつまみあげて食べる。全長15~25cm,翼の開張35~55cm。多くは全体に黒褐色で,腰に白斑をもつ種や尾が深く切れ込んでいる種もある。陸生のツバメ,イワツバメに姿かたちや飛び方が似ているためこの名がつけられたが,飛び方はむしろアゲハチョウかコウモリに似ている。

 世界に8属21種があり,南半球産の種は長い脚と短くて広めの翼をもち,海面での採餌に適した形態をしている。北半球産のものは翼が長く先が細くなり,脚は短く,むしろ帆翔に適している。繁殖様式や生活史は,他のミズナギドリ目の鳥によく似ている。遠隔の無人島の地面に横穴を掘り,あるいは岩の割れ目を巣とし,白色無斑の卵を一つだけ産む。雌雄交替で40~50日間抱卵,雛は孵化(ふか)後9~10週間養育される。日本には5種が繁殖する。オーストンウミツバメOceanodroma tristramiは暖海種で,伊豆諸島や硫黄列島で繁殖する。クロウミツバメO.matsudairaeも暖海種だが,現在知られている繁殖地は北硫黄島だけで数が少ない。ヒメクロウミツバメO.monorhis,クロコシジロウミツバメO.castro,コシジロウミツバメO.leucorhoaは温海種で,本州,北海道の沿岸で繁殖する。

長谷川 博
図-ウミツバメ
図-ウミツバメ