平凡社 世界大百科事典

採掘跡充塡

鉱山等の採掘跡に〈ずり〉(〈ぼた〉ともいう)を持ち込み,詰め込んで周囲の岩石を押さえて岩石の亀裂の発生を軽度にとどめ,作業の安全を図ること。鉱山や炭鉱の切羽で鉱石や石炭を採掘した後は,大きな空間がその採掘跡に残る。その空間を残しておくと,周囲の岩石は地圧を受けてしだいに亀裂を生じ,岩石が崩落するので危険である。それを防止するために行うものだが,地表沈下が問題となる所,河川の下などを採掘するときには,地表,川底に変化を生じないようにすることが必要である。充てん材料は,鉱脈中の脈石,炭層の夾(はさ)み,天盤の付物などや坑道掘進のずり,または坑外の選鉱,選炭場やずり捨場などから得られたずりを使用する。採掘跡を全部充てん材料で詰めるのを全充てん,計画的にすき間を残して充てんするのを部分充てんという。

 充てんの方法には,人力,水力,空気力,機械力によるものがある。人力による場合,緩傾斜層の採掘跡に充てん材料を投入するのはシャベルで行うが,急傾斜層の場合は充てん材料が下盤上を自走するのでシャベルで投げ込む必要はない。充てん個所を採掘作業場から区分し,充てん材料が作業場にくずれ込むのを防ぐために,仕切板や金網を使用することがある。水力充てんは,管中を流れる水力で充てん材料を運び充てんする方法で,管の抵抗に打ち勝つためと必要な流速を得るためにかなりの水圧が必要であり,プラントを坑外に設置して坑外と採掘跡間の圧力差を利用するか,坑内にプラントを設置してポンプを使用する。充てん材料には,水洗ずり,ボイラー灰,細粒の高炉スラグ,砂,フライアッシュ等が使用される。水量は材料1m3に対して1~5m3で,管径は一般に125~200mmが普通である。充てん管には鉄管が用いられるが,屈曲部はとくに摩耗が激しいので,その部分にはクロム鋼やマンガン鋼が用いられ,さらに耐摩耗性の内張りをすることがある。空気充てんは,管内を流れる気流によって充てん材料を運ぶ方法で,流速,流量によって粒度,運搬量が異なってくる。気流の発生には1~4atmの圧縮空気を流出させ,管径150~200mm,充てん能力20~80m3/h,空気消費量は材料1m3当り自由空気で80~200m3,運搬距離は200~800mがふつうである。この圧気流中に充てん材料を送り出すために空気充てん機が用いられる。空気充てん管もやはり耐摩耗性の高いものでなければならない。機械力による方法は,切羽まで切羽運搬機で運ばれてきた充てん材料を受けて投射式充てん機に入れ,機械力で採掘跡に投射するものである。

 炭鉱の長壁式採炭切羽では,採掘跡に走向方向に一定間隔で何ヵ所かの充てんを行い,毎日の採炭の進行に応じて連続的に充てんをつないでいく方式がとられることがある。これを帯状部分充てんといっている。

大橋 脩作