平凡社 世界大百科事典

イネ,麦などの穀用作物の結実収穫後の茎(稈(かん)),葉を乾燥したものを,一般にわらと呼んでいる。日本では,米の生産と関連して,稲わらの利用が生活と深く結びつき,わら工品として,かます,むしろ,俵,縄,履物(わらじ,ぞうり,わらぐつ),畳床などの材料に用いられ,また飼料,肥料,敷きわら,燃料などにも利用されてきた。現在の稲わらの利用をみると,肥料として切断わらの田畑へのすき込みがもっとも多く,ついで堆肥用,畑の敷きわら用で,稲わら総産出量の過半数が農業用として使われている。また,畜産用として,飼料,畜舎の敷きわらにも用いられる。飼料としての稲わらの化学成分の含量は,水分13.0%,タンパク質4.3%,脂肪1.7%,可溶性無窒素物37.3%,繊維28.9%,灰分14.8%で,ウシの消化率は,タンパク質26%,脂肪40%,可溶性無窒素物47%,繊維61%となっている。栄養価は草類に比べ劣るので,家畜に与える場合は,タンパク質,カルシウム,リン,ビタミンAなどを十分補給する必要がある。なお,飼料として,コムギ,オオムギ,トウモロコシの稈も利用されている。わら工品としては,稲わら総産出量の数%が,かます,むしろ,縄,畳床の材料として利用され,東北・九州地方での生産が多い。かます,むしろ,荷造り縄にはJAS(日本農林規格)があり,これによると,かますは,稲わらを主原料として袋状に仕立てたもので,穀用,肥料用,塩用,鉱石用,一般用に分類されている。また,むしろは,稲わらを緯(よこ)とし,縄を経(たて)として製織したもので,敷用,包装用に分類されている。なお,米の包装には,俵は現在用いられず,紙袋,麻袋,樹脂袋になっている。また,わら工品では,麦わら製品として,オオムギ(皮麦,裸麦),コムギのわらを漂白し,割り開いたものを真田(さなだ)編みとした麦稈真田(ばつかんさなだ)がある。

平 宏和