平凡社 世界大百科事典

流線

流体の運動が時間的に変動しない,すなわち定常なとき,流れに注入された,流体と同密度の微粒子の描く曲線。流線の接線は各点での流速ベクトルとその方向が一致している。このことから,流線は互いに交わることはない。定常な流れにおける流線に対し,非定常運動では流跡線という概念がしばしば用いられる。これはある瞬間における各点での流速ベクトルと接線が一致するような曲線であり,次の瞬間での流跡線は一般に前の時刻のものと交差する。見方を変えると,流跡線はある瞬時の流れをあたかも定常とみなしたとき得られる流線といえる。流線を見るには,軽い金属(例えば,アルミニウム)の微粉末や水素気泡を流体中の1点またはいくつかの点で連続的に注入し,これを写真にとる。他方,流跡線はそれがあまり大きく変形しない程度の露出時間で写真をとると,微粉末や水素気泡の動きから各点での速度ベクトルの方向がわかり,それらをつなぐことによって得られる。

吉沢 徴