平凡社 世界大百科事典

喘鳴

呼吸器疾患の患者が呼吸の際発するゼーゼー,ヒューヒューという雑音。〈ぜいめい〉といわれることもある。気管支喘息で最もよくみられ,攣縮(れんしゆく)し細くなった気管支壁が振動して音が発生し,口から放射される。隣室でも聞こえるような強いものから,聴診器を胸にあててようやく聞きとれるような弱いものまで,その強さはさまざまである。しかし,音の強さは気管支攣縮の程度とは必ずしも関係しない。一般に気管支の内径は息を吸う(吸息)ときに広がり,吐く(呼息)ときに細くなるために,喘鳴は通常呼息に際して発生しやすいが,吸息時にも発生することがある。気管支喘息などでは,喘鳴とともに吐く息の時間が延長しているのが特徴である。安静時の静かな呼吸で喘鳴がみられなくても,できるだけ速く息を吐き出すように(強制呼出)すると喘鳴を生じることがあり,気管支攣縮や狭小を知るひとつの強調法として,診断に役立つ。吸息のみに聞かれる喘鳴は喉頭や気管など上部の気道が狭小となる種々の病変によっても生じ,小児の胸腺肥大による気管圧迫の際にみられる吸息性喘鳴は典型的な例である。

工藤 翔二