平凡社 世界大百科事典

ストラバイト

魚介類缶詰に生成するガラス状の結晶。カニ,イカ,マグロなどを原料とする缶詰肉の表面などに,無色またはわずかに着色したガラス状の析出物が見られることがある。大きさは砂粒程度のものから長さ1cm以上に及ぶものがあり,数も1個から無数に及ぶ。その組成はリン酸アンモニウムマグネシウムMg(NH4)PO4・6H2Oである。食べても生理的には無害であるが,菱形のかたい結晶のため口中を傷つけることがあり,ガラス細片と疑われ缶詰の商品価値を損なう。生成要因は,原料肉から溶出したリン酸とマグネシウムが加熱殺菌時にアンモニアと化合し,冷却時に析出するためである。結晶は中性ないしアルカリ性では難溶であるが,pH6.2以下ではよく溶ける。クエン酸またはヘキサメタリン酸の添加が生成防止に有効とされている。魚介類缶詰のほか,塩乾品,魚醬油,肉エキスなどにも生成することがある。

山口 勝巳