平凡社 世界大百科事典

スチレン・ブタジエンゴム

略称SBR。スチレンとブタジエンを共重合させて得られる合成ゴム。合成ゴムの中で最も多く生産,使用されている代表的な品種で,自動車タイヤをはじめほとんどのゴム製品に使用される汎用合成ゴムである。1930年代にドイツで研究,工業化されブナS(Buna S)の商品名で市販された。太平洋戦争中はアメリカにおいて政府管理のGovernment Synthetic Rubber Programにより軍需用にGR-Sの名称で大量に生産,使用された。ラジカル重合開始剤を用いた乳化重合法により製造される。重合温度は通常5℃付近または50℃付近で,前者の場合をコールドラバー,後者の場合をホットラバーと称している。特殊用途以外の大部分のSBRはコールドラバーである。SBRの代表的組成はスチレン23.5%,ブタジエン76.5%である。ブタジエンの結合様式はシス-1,4結合13%,トランス-1,4結合69%,1,2結合18%である。

 以上に述べたSBRは水を媒体として乳化ラジカル重合法により製造される歴史の古い合成ゴムであるが,近年になって有機溶媒中,イオン重合法による溶液重合タイプのSBRも製造されるようになった。重合触媒としては有機リチウム化合物が使用される。一般のゴム製品の原料として使用されるが,プラスチックの耐衝撃性改良のためのブレンド用としても使用される。また,この重合法を応用すると,ポリブタジエン鎖の両端にポリスチレン鎖をもつブロックタイプのSBRも得られる。これは加硫しなくても加硫ゴムのような弾性を示し,プラスチックと同様に射出成形,押出成形が可能なことから,自動車用部品などの成形品,履物,ホースなどのほか,プラスチック改質用や接着剤用としても使用される。

住江 太郎