平凡社 世界大百科事典

皮下脂肪

皮膚は,真皮の下に皮下組織と呼ばれるゆるやかな結合組織層があるために,深部の骨や筋肉の表面に対してかなりの可動性を示すことが多いが,この皮下組織内に脂肪細胞の集団が存在するとき,これを皮下脂肪と称する。すなわち,皮下脂肪は結合組織の変形物であり,脂肪を細胞体内に蓄えた脂肪細胞を細胞成分として数多く有するような結合組織であるといえる。ちなみに真皮や骨,筋膜は膠原(こうげん)繊維の非常に多いタイプの結合組織である。

山内 昭雄皮下脂肪の働きは構造面で,筋肉,骨,内臓などに外力が直接働くのを和らげるクッションの役割や,外界温度の影響を直接内臓が受けないようにする温度変化に対する防御作用がある。代謝面からは,エネルギー源としての脂肪の製造,貯蔵部位でもある。皮下脂肪量は,部位,人種,年齢,性,栄養状態,ならびにインシュリン,副腎皮質ホルモンなどのホルモンの分泌状態など,種々の因子によって決まる。肥満は皮下脂肪の増加で,その主成因は食物の過剰摂取と運動量の減少といわれる。脂肪細胞は中性脂肪を含み,これは食物中の中性脂肪に由来するとともに脂肪細胞でブドウ糖からもつくられる。飢餓が続くと脂肪細胞が萎縮あるいは消失し,顔はしわの多いサルのような表情になる。
皮膚
松尾 聿朗