平凡社 世界大百科事典

亜寒帯夏雨気候

亜寒帯気候の一つで,アジア大陸の東半分にしか分布しない。トランスバイカル気候とも称し,きわめて大陸的な気候で,夏に雨が多く洪水を見ることも珍しくない。冬は晴天が多く積雪も少ないうえに,風も弱いのであまり寒さは厳しくない。しかし,夏が雨や雲のためやや気温が低いので,年平均気温にするとかなり低くなる(-15~+10℃)。南極大陸を除いては,この気候区に世界で最も寒い地点(寒極)が存在する。植生はエゾマツ,トドマツ,ツガなどからなる針葉樹林(タイガ)が分布し,土壌はやせたポドゾルである。農耕に不適な地域であったが,近年徐々に耕作限界線が北上し耐寒性作物(エンバク,ジャガイモ,大麦など)の栽培が行われるようになった。森林資源が豊富で,これを利用した林業は盛んである。なお,この気候区とは逆の亜寒帯冬雨気候は,合衆国のオレゴン川中流に一部みられるにすぎない。

福岡 義隆