平凡社 世界大百科事典

突発性難聴

聴覚に異常のなかった人が突然難聴になることで,その特徴として次の三つの主症状があげられる。すなわち,(1)突発的に難聴が発現する,(2)難聴の性質は高度の感音性難聴である,(3)難聴の原因が不明,の三つである。さらに副症状として,(1)耳鳴りが難聴と同時に,または前後して発現する,(2)めまい(吐き気,嘔吐を伴うことがある)が難聴と同時に,または前後して発現することがあるが,めまい発作を繰り返すことはない,(3)第8脳神経(内耳神経)以外に顕著な神経症状を伴うことがない,などがある。これらの特徴を示す難聴は突発性難聴と診断される。日本における患者数は人口100万対25~30である。罹患年齢分布は40歳代が最も多く,男性にやや多い。大部分が一側性に発現し,左右差はない。精神的・肉体的過労が誘因となる。原因として内耳の血液循環障害説,ウイルス感染説,代謝障害説,蝸牛窓膜破裂説などがあるが,まだ解明されていない。治療は早期に開始するほど回復率は高い。通常,副腎皮質ホルモン,血管拡張剤,ビタミンB剤,循環調整剤などの投与が奏効する。高圧酸素療法なども有効である。

平出 文久