平凡社 世界大百科事典

スーツ

広義には2種以上の衣服,たとえばジャケットとスカートが,同一生地でつくられた衣料の組合せをいい,狭義には男子用の背広型の上下揃い(ツーピース・スーツ),またはそれにベストを加えた三つ揃い(スリーピース・スーツ)をいう。スーツ形式が確立されたのは17世紀の後半のイギリスで,コートとベストとニー・ブリーチズknee breeches(半ズボン)の3者を共地でつくるのが流行し,それが定型として背広型にも踏襲されて現代にいたっている。婦人服にスーツ形式が見られるのは,19世紀の後半にそれまでのワンピース形式に加えて上下組合せ型の服が登場してからのことで,そのためにこの形をツーピースと呼ぶこともある。上下が異なった色柄や素材の組合せがセパレーツseparatesで,この場合には着用者が任意の服を選んで組み合わせるという意味が強く,コーディネーツco-ordinatesやアンサンブルensembleと呼ばれる場合には,デザイナーや製造業者が2点以上の組合せをあらかじめセットしていたり,アクセサリーを含めた数点以上の組合せを示すことが多い。

高山 能一