平凡社 世界大百科事典

スルファニル酸

p-アミノベンゼンスルホン酸の俗称。エチルアルコール,ベンゼン,エーテルにはほとんど溶けないが,水にはよく溶ける。酸解離指数pKa=3.227(25℃)。水から再結晶すると1分子の結晶水が含まれるが,100℃付近で無水物となり,約288℃以上で分解する。アニリンの硫酸水素塩を約200℃に加熱することにより合成される。この反応は,スルファミン酸が生成したのち転位を経て起こるものと考えられている。

 このような転位はベーキング法baking processと呼ばれ,アミノスルホン酸類の一般的な製造法である。スルファニル酸は各種アゾ染料の合成中間体として広く用いられる。スルファニル酸のアミドおよびその誘導体は細菌性疾患に対して著しい効果をもち,サルファ剤と呼ばれる化学療法剤として重要な用途がある。

小林 啓二