平凡社 世界大百科事典

塩化硫黄

硫黄の塩化物の総称。3種類が知られている。

二塩化二硫黄disulfur dichloride

化学式S2Cl2。一塩化硫黄SClとも呼ばれる。融解した硫黄をフラスコなどの壁面に薄く広げて室温で冷却し,塩素を導いて,50~80℃で直接に反応させ,生成物を1気圧137℃以上で蒸留して得る。刺激臭のある黄色の液体。不純物として二塩化硫黄SCl2が混入しているものは橙色あるいは赤色である。湿った空気中で発煙する。融点-80℃,沸点138℃,比重1.68(20℃)。二硫化炭素,エーテル,ベンゼンに溶ける。水で加水分解してHCl,SO2,H2S,ついでS,H2S2O3,H2SnO6n=2,3,……)を生ずる。

二塩化硫黄sulfur dichloride

化学式SCl2。粗S2Cl2に塩化鉄(FeCl2またはFeCl3)を少量加えて塩素ガスを反応させ,次に塩化リン(III)PCl3を少量加えて蒸留をくり返してつくる。沸点59℃,融点-78℃,比重1.62(20℃)。刺激臭のある暗赤色液体。たやすく分解してS2Cl2とCl2になる。水と反応して,S,H2S2O3,H2SnO6,H2SO4などを生ずる。n-ヘキサンに可溶。

四塩化硫黄sulfur tetrachloride

化学式SCl4。SCl2に低温で液体塩素を作用させてできる黄色の結晶。構造は[SCl3]Clと考えられる。-30℃で溶けて赤褐色の液体となり,同時にSCl2とCl2に分解する。

 塩化硫黄は硫黄をよく溶かし,Cl-Sn-Clの構造のジクロロスルファンdichlorosulfanをつくる。nが100くらいのものまで知られている。

漆山 秋雄