平凡社 世界大百科事典

三酸化硫黄

化学式SO3。二酸化硫黄と酸素を白金アスベストを触媒として燃焼させて得る。濃硫酸を五酸化二リンとともに蒸留するか,発煙硫酸,硫酸水素ナトリウム,ピロ硫酸ナトリウムなどを加熱しても得られる。気体の分子構造は,図に示すように,硫黄を中心とする平面正三角形である。固化させるときの条件によって3種の変態が知られている。すなわち,気体を-80℃以下で冷却すると発煙性,無色の氷状のγ型が得られ,25℃以下で放置すると絹糸状光沢のあるアスベスト状のβ型となり,これを封管中32.5℃以上に長くおくとコロイド状のα型となる。融点16.8℃(γ),32.5℃(β),62.4℃(α),沸点44.5℃(液体),比重1.926(20℃,液体)。各変態ともに化学作用はほぼ同じである。水と激しく反応して硫酸となる。強い酸化剤で,金属酸化物とは熱を発して反応して硫酸塩をつくる。液体三酸化硫黄は単量体と三量体の混合物で,無色油状,強い刺激性の蒸気を発生する。濃硫酸,液体二酸化硫黄,塩化スルホニルによく溶ける。ジクロロジフルオロメタンCF2Cl2も低温でよい溶剤である。濃硫酸に吸収させたものを発煙硫酸という。硫黄を含む石油類を燃焼させたとき発生する二酸化硫黄は,大気中において微細な浮遊粒子状物質の表面をおおっている水の膜に溶け,さらに紫外線による光化学反応によって三酸化硫黄に酸化される。これが大気汚染をもたらす硫酸ミスト発生の原因である。

漆山 秋雄
図-三酸化硫黄の分子構造
図-三酸化硫黄の分子構造