平凡社 世界大百科事典

日時計

太陽によってできる物体の影の位置を利用した時計。日時計は人間のつくった最古の時計であり,中世ヨーロッパに機械時計が出現し普及するまで約3000年にわたって広く使われた。今もヨーロッパの中世の建物外壁に設けられた日時計を多く見ることができる。初期の機械時計は精度が不十分だったので,日時計を基準として修正しながら使用したと思われる。原始の日時計は地面に対し鉛直に立てた日影棒(ノーモン)と簡単な目盛からできていたが,これでは季節によって目盛からのずれを生ずる欠点がある。日影棒をその土地の緯度と同じ角度傾斜させて取りつけると,この変動を除くことができる。日時計には目盛板を垂直に置く型と建物の壁上に設ける垂直型とがある。また携帯用として各種アイデアを凝らしたものがある。日時計は本来真太陽時を示すのだが,標準時を読める精巧なものもある。機械時計の文字板と針の起源は日時計であり,針の回転方向は北半球における日時計の日影の動きと同じである。→時計

小野 茂