平凡社 世界大百科事典

超自我

S.フロイトによって定義,使用された概念。彼は精神を空間的にとらえ,前期の理論では意識,前意識,無意識,後期の理論では超自我,イド(エス)のそれぞれ三つの領域を区別した。超自我は自我に対して監視人,裁判官,指導者のような役割を果たす,いわば良心のようなものであるが,すぐれて無意識的である点で通常の良心と異なる。超自我は両親の禁止や命令を内在化したものであるが,現実の両親像ではなく,両親の超自我を内在化したもので,それを中心としてあとから教師などを介してさまざまな社会的規範がつけ加わる。このようにして超自我は世代から世代へと受け継がれ,社会の伝統的な規範や価値を伝えてゆくとされる。超自我は自我理想ego idealをその一面として含むこともあり,自我理想と区別されることもある。区別された場合は,超自我は主として禁止の側面を表し,それへの違反は罪悪感を生む。自我理想は到達すべき理想を表し,それに達しないと劣等感を生む。

岸田 秀