平凡社 世界大百科事典

重ね合せの原理

音波が伝わる空気中の密度の変化のように,場所(xyz)と時間tの関数として表される量fxyzt)が同次線形方程式となるときには,f1xyzt)という解とf2xyzt)という解があると,f1f2も解になるという原理。重畳原理ともいう。光の波でも同様であり,2本の光束が交差する場所では両方の光による振動を重ね合わせたもの(光は電磁気力の波なのでベクトルとしての力の和)が各点の実際の振動になる。交わってからあとの各光束(例えばf2=0でf1≠0のところのf1)は,交わったことで何も影響を受けない。2本のホースから吹き出した水の噴流を交差させたような場合にはこのようなことはない。重ね合せは上の例のように主として波動で見られる現象で,波の干渉もその一つの例である。

小出 昭一郎