平凡社 世界大百科事典

座薬

現在,薬学では座剤といわれている。通例,医薬品を基剤に均等に混ぜあわせ,一定の形状に成形して,肛門,または腟,尿道に適用する固形の外用剤で,体温によって溶けるか,軟化するか,または分泌液で徐々に溶ける。肛門座剤は直腸に適用し,形状は紡錘形または円錐形で,重さは1~3g,長さは3~4cmである。肛門座剤は痔疾患に局所作用を目的として使用されていたが,近年全身作用を目的とする座剤も数多くある。局所作用の座剤は,主として,緩和,収斂(しゆうれん),局所麻酔,殺菌などを目的とする座剤である。これに用いる医薬品は,ロートエキス,アネステジン,タンニン酸などである。全身作用の座剤は,適用部位の粘膜から薬物を吸収させて,全身への効果を期待する場合の座剤である。吸収された薬物は肝臓を通過せずに直接大静脈へ移行する。解熱鎮痛,抗痙攣(けいれん)剤として,また抗生物質などに用いられている。→製剤

杉原 正泰