平凡社 世界大百科事典

スラー酒

古代インドの酒の一種。その性状は明らかでないが,穀物を原料とするアルコール飲料と推定されている。インド・アーリヤ人の飲料としてはリグ・ベーダ》にその名を記されている。ソーマが神聖な飲料として,濃厚な宗教的色彩を有していたのに対し,スラー酒はきわめて庶民的な飲料であったらしい。現今のインドにおけると同様,古代においても飲酒は罪悪の面が強いものと見なされていたらしい。文献中の記述も,一方では精神の快適を誘う効用を認めつつも,酩酊による過失の物語を数多く挙げるなど,その弊害を強調する傾向が強い。

吉岡 司郎