平凡社 世界大百科事典

サーフィン

本来は波乗りのことであるが,現在は,浮力のある板(サーフボード)を使って沖合から波打ちぎわまで波乗りをする海のスポーツを意味するのが一般的である。1人でボードのみを使うもののほか,カヌーのようにパドル(櫂)を用いるサーフスキーや4人乗りの大型のサーフボードもある。ポリネシアの人々の古くからの遊びがその起源だといわれ,ハワイ諸島ではとくに活発に行われていた。1778年にハワイを訪れたキャプテン・クックが,そのようすを記録している。その後,1821年にヨーロッパからやってきた宣教師によって不道徳な遊びとして禁止されたが,20世紀に入ってから復活した。とくに,ハワイ出身でオリンピックの水泳100m自由型優勝者カハナモクDuke Kahanamokuが,1920年ワイキキに初めてサーフィン・クラブを作って以来,アメリカ本土でも愛好者が増加した。高波の打ち寄せる海岸ならばどこでもできるので,海水浴場の楽しみの一つとしてしだいに定着した。59年には,それまでの木製のサーフボードに代わって,ウレタンのボードが開発され,安価で軽く使いやすくなって普及に拍車がかかり,アメリカ,オーストラリアを中心に世界に広がった。

 日本でも,戦後,在日アメリカ人が湘南海岸でサーフィンを行っていたようだが,本格的な普及は60年代に入ってからである。65年に日本サーフィン連盟が発足し,翌66年千葉県鴨川海岸で第1回全日本サーフィン選手権大会が開催された。そのときの参加者は100人たらずだったが,この新しい感覚のスポーツは若者の夏の風俗として定着し,確実に愛好者を増やしてゆく。それには当時流行した若者たちの音楽であるエレキサウンドが一役かっている。70年代の末には〈サーファー・ルック〉というファッションも現れ,サーフボードやウェットスーツを売るサーフィン産業がスポーツ産業界の一角を占めるようになった。現在の愛好者は推定100万人,そのうち競技人口は1万人ぐらいといわれる。日本サーフィン連盟の主催する競技大会は年間5回ほど開かれ,大きな大会には800名ほどの選手が参加している。

 また,1970年にはサーフボードに帆をとりつけたウィンドサーフィンが開発され,サーフィンの行動範囲を波打ちぎわからはるかに広い水面に広げることに成功した。

薗田 碩哉