支払いサイトを前倒しにできるが、取引先に通知されない2者間ファクタリング。
そんな2者間ファクタリングはそもそも合法なのでしょうか?安心して利用していただくために、2者間ファクタリングが合法と言えるかどうかについて調べてみました!
- ファクタリング会社が売掛債権のデフォルトリスクを負担しているなら、その2者間ファクタリングは売掛債権の真正売買とみなされる!
- 売掛債権の真正売買である2者間ファクタリングは、貸金業法などが適用されず違法ではない!
ファクタリングとは?
ファクタリングの概要
ファクタリングの歴史は浅く、比較的新しい金融サービスです。
資金繰りに課題を抱えている、個人事業主やフリーランス、中小企業に利用者が多く、働き方が多様化しつつある近年注目されています!
ファクタリングとは、いわゆる「先払い」です。
利用者の入金待ちの売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで請求金額の着金前に現金化することができる金融サービスです。
実際の利用者への入金額は手数料を引いた金額になり、本来の書面の入金額より少なくなります。しかし、最短即日で現金化を行う会社も存在して、「資金繰り」の悩みを解決する魅力的なサービスと言えます!
一般的に国内の企業は、1ヶ月間で購入した商品を同じ月の特定日に集計し、翌月の決まった日にまとめて支払いを行います。例えば、「月末締め・翌月末払い」です。
つまり、商品の販売から入金までに一定のタイムラグがあります。
したがって、資金力の乏しい中小企業や個人は、この間の資金繰りに苦労することがあります。
ファクタリングの2種類の契約方法
ファクタリングには契約方法が2種類あり、それぞれ2者間ファクタリング、3者間ファクタリングと呼ばれます。
2者間ファクタリング
2者間ファクタリングとは、ファクタリング会社と利用者の2者間で行うファクタリングです。
2者間ファクタリングは入金スピードが速く、取引先に通知されないというメリットがあり、特に一刻も早く資金調達したい場合には非常に有効です。ただ、手数料が割高であるほか、審査がやや厳しめであるというデメリットもあります。
2者間ファクタリングの流れは以下のようになります。

- 利用者が売掛債権をファクタリング会社に売却し、ファクタリング会社が手数料を差し引いた金額を利用者に入金
- 取引先から利用者に入金
- 利用者からファクタリング会社に売掛金を入金
3者間ファクタリング
3者間ファクタリングとは、利用者とファクタリング業者と取引先の3者間で行うファクタリングです。
3者間ファクタリングは、取引先が契約に加わることで貸し倒れのリスクが低くなり、手数料が低くなる傾向にあるので、少しでも手数料を安くしたい人におすすめです。
ただし取引先への通知と承諾が必要になり手続きに時間がかかるので、すぐに現金化したい場合は注意が必要です。
3者間ファクタリングは以下の手順で行われます。

- 利用者とファクタリング会社、取引先の3者でファクタリング契約を行う
- 利用者からファクタリング会社に売掛債権の譲渡・通知
- ファクタリング会社から利用者に売掛債権分の金額を入金
- 取引先からファクタリング会社に直接入金
2者間ファクタリングはノンリコースであることが多い
ファクタリングには2者間・3者間の分類とは別に、債務者の信用リスクの負担に関する分類が存在します。この分類ではウィズリコース、ノンリコース、保証型ファクタリングの3つに分けることができます。
このうち保証型ファクタリングとは、「保証料を支払うことにより売掛債権などの回収リスクを保証する、保険に類似したサービス」のことをいいます。
ウィズリコース、ノンリコースとはなんのことでしょうか?リコース(償還請求権)があるのがウィズリコース、ないのがノンリコースです。これだけだと少し分かりにくいですよね。
もう少し具体的に、ファクタリング利用者の取引先が売掛債権の支払期日に売掛金を支払わなかった場合を考えてみます。
この場合、ウィズリコースであればファクタリング会社は利用者に売掛債権を買い戻すよう請求できますが、ノンリコースだとそれができません。ノンリコースとは債権の真正売買であるため、この時点で売掛債権は完全にファクタリング会社の所有物になっているのです。したがって、利用者は返金の全責任を負う必要がありません。
「真正売買」とは、債権流動化(=売掛債権などの債権を現金化して資金調達すること)において、売掛債権の保有者(ファクタリング利用者)から売掛債権回収の代行者(ファクタリング会社)に、売買契約によって正式に売掛債権が譲渡されることをいいます。
ファクタリングを取り巻く法律は?
ファクタリングそのものが合法か違法か、ということについては、以下の記事にて解説しています。合わせてご覧下さい!
2者間ファクタリングは違法であるという主張に反論する
ここからは、2者間ファクタリングが違法であるという以下の主張①〜③に反論する形で、2者間ファクタリングが合法であるということを論じていきます。
誤った主張①:2者間ファクタリングは債権担保融資なので、ファクタリング会社は貸金業登録が必要。
もし2者間ファクタリングが債権担保融資であるならば、ファクタリング会社は貸金業登録を受けなければなりません。しかし、貸金業登録を受けているファクタリング会社はほとんど存在しないというのが現状です。すなわち、前提となる「2者間ファクタリングが債権担保融資である」ということが事実であれば、確かに2者間ファクタリングは違法だということになります。
では果たして、「2者間ファクタリングが債権担保融資である」という前提は正しいのでしょうか?2者間ファクタリングに関する2つの判例から考察していきましょう。
まず、違法とされた業者の例です。以下のリンクからご覧下さい。平成29年3月3日/大阪地方裁判所判決
判決の内容をまとめると、この業者は売掛債権のデフォルトリスクをほとんど負わないという契約のもとで2者間ファクタリングを行ったため、売掛債権の売買契約ではなく金銭消費貸借契約に基づくファクタリング取引であったと認定されました。
一方、合法とされたファクタリング会社はどうでしょうか。平成28年12月19日/東京地方裁判所判決
この判決では、ファクタリング会社が契約上売掛債権のデフォルトリスクを負担していたと認定され、ファクタリング取引が売買契約によるものであったとされました。ファクタリング取引が売買契約によるものであれば、当然ながらファクタリング会社は貸金業登録を受ける必要はありません。
結論としては、債権が回収不能となるリスクがファクタリング会社に移転していればそのファクタリングは債権担保融資ではなく債権の真正売買であると判断されています。ほとんどのファクタリング会社はそのリスクを負担しているため、2者間ファクタリングは違法ではないと言えるのです。
誤った主張②:ファクタリングは貸金業法が適用されないので、取立て行為の規制がない。
例えば貸金業法第21条第1項には、次のような文言があります。
「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。」
貸金業法第21条第1項
また、サービサー法第17条第1項にはこう書かれています。
「債権回収会社の業務に従事する者は、その業務を行うに当たり、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。」
サービサー法第17条第1項
主張②は、「ファクタリングには貸金業法やサービサー法などが適用されないので『威迫』や『私生活若しくは業務の平穏を害するような言動』が横行することはあるのではないか」という危惧を示していると思われます。
健全なファクタリング会社を利用する限りは、このような行為を目にすることはまずないでしょう。しかし、もしこのような悪質な取り立てを行う業者が存在したと仮定すると、これらの法が適用されないため、確かにただちに違法とはならない可能性があります。
ただ、事案によっては民法上の不法行為責任等が生じる可能性があります。そのため、「ファクタリング会社が手段を選ばずに取り立てを行うことができる」というのは正しくありません。
繰り返しになりますが、健全なファクタリング会社を利用する限りは、悪質な取り立てに遭うことはまずありません。
誤った主張③:手数料が高い。暴利行為である。
ファクタリングの手数料は、出資法などで定められた金利の上限を超える水準になっています。しかし、ファクタリングは貸金業ではないため、そもそもそれらの規定とはなんら関係がありません。
一般的に、2者間ファクタリングの手数料の相場は10〜20%となっています。
実際に、ファクタリングの手数料が高いとされていることについては、司法はどのような判断を下しているのでしょうか。複数の判例から見ていきます。
「なお、本件各取引においては、譲渡対象債権額に比べて債権買取額が減額されたものとなっているが、これは、対象債権の支払期限までの利益が考慮されたことに加え、対象債権の債務者による支払がされない場合があるという危険を債権譲受人である被控訴人が負担することになることに基づき、債権買取額が減額となったものと考えられ、その差額の多寡についての当否は別として、これをもって本件各取引が法的に金銭消費貸借契約の締結であったことになるものではない。」
平成27年5月21日/東京地方裁判所判決
「なお、上記売買代金額は、債権額の約78%から約92%で一定の割合ではなく、代金額決定に一定の根拠(法則)を認めるに足る証拠はないが、証拠と弁論の全趣旨によれば、売買代金額は、契約当事者間の交渉により、当時の同業他社との比較や債務者の信用力等で決定されることが認められるから、一定の根拠(法則)がないことは、売買契約であることを否定する理由にはならない。」
「契約日から債権の支払日までが短く、債務者に信用力があること、控訴人が資金繰りに窮し、被控訴人がそのことを認識していたなどの控訴人主張の各事情は、いずれも、本件取引1が債権の売買契約であることを前提とするとき、暴利行為として公序良俗に反することの根拠となるということはできない。」
平成29年5月23日/東京高等裁判所判決
ファクタリングは売買契約であるため代金の額を当事者間の交渉で決められるうえ、その手数料はファクタリング会社の利益やデフォルトリスクの存在を考慮したものです。
判決文をまとめると、結論としては、
- これらの事例においてファクタリングは売買契約であり
- 公序良俗に反する暴利行為はなかった
ということになります。
【結論】2者間ファクタリングは違法ではない!
ここまで読んでいただければ分かる通り、2者間ファクタリングは売買契約に基づくものであれば、それ自体に違法性はありません。
ただし、業者側が売掛債権のデフォルトリスクを負担しない2者間ファクタリングがもし存在すれば、それは債権担保融資によるものであると判断されるおそれがあり、違法とされうる点がいくつか浮上してきます。
つまり、2者間ファクタリングでは売掛債権の真正売買がなされているかどうかが違法か合法かの分かれ目になってくるわけです。
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まとめ
この記事では「2者間ファクタリングは違法である」という主張に対して反論する形で2者間ファクタリングが合法である理由を解説いたしました。
この記事に納得していただけたならば、安心してファクタリングを利用していただければと思います!
- ファクタリング会社が売掛債権のデフォルトリスクを負担しているなら、その2者間ファクタリングは売掛債権の真正売買とみなされる!
- 売掛債権の真正売買である2者間ファクタリングは、貸金業法などが適用されず違法ではない!
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