積立NISAやiDeCoを始めたいけど、そもそも投資信託って何?どれを選べばいいの?
そんなあなたに、投資信託の仕組みからファンドの選び方、初心者におすすめの投資信託まで、やさしく丁寧に解説します。
投資信託とは
そもそも投資信託は、株式投資など他の金融商品となにが違うのでしょうか?
まずは、投資信託の仕組みやかかる手数料、種類を解説します。
投資信託の仕組み
株式投資は、株式会社が発行する株式を投資家(私たち)が買い、そのお金で株式会社が事業を運営し、その利益の一部を投資家へ還元(配当金など)する仕組みです。
一方、投資信託は投資家からお金を集め、それを資金として投資の専門家が株式や債券、不動産などに投資して運用します。株式投資では投資する企業を自分自身で決めることができるのに対し、投資信託ではそれができません。
一見するとデメリットのように思えますが、投資初心者にはメリットでもあります。
自分自身で投資先を決めるにはそれなりの知識が必要になるため、株式投資は初心者にとって敷居が高くなります。しかし、投資信託では専門家が運用してくれるので、投資経験の浅い初心者でも投資を始めやすいのです。また、投資の専門家がバランスを考えて運用するので、一般的な株式投資よりもリスクは低くなります。
投資信託にかかるコスト
私たち投資家は投資したいお金を出資するだけで、あとは投資の専門家が資産を運用してくれる投資信託。全て専門家にお任せしているので、その運用はとても簡単です。個別株式投資と違って、毎日株価をチェックして頻繁に売り買いする必要もありません。
しかし、専門家に任せている分、投資信託の運用にはお金がかかります。株式投資でも売買手数料が必要ですが、投資信託では売買手数料の他に運用に関する手数料も必要です。投資信託にかかる手数料は大きく分けて、売買する際にかかる手数料と運用にかかるコストがあります。
各投資信託にかかる具体的なコストは目論見書で確認ができますので、しっかりと読むようにしましょう。
投資信託の売買にかかるコスト
投資信託を買い付けるときに発生する購入時手数料と、売却するときに必要になる信託財産留保額の2つがあります。ノーロードと言って、売買手数料が無料のファンドも少なくありません。
投資信託の運用にかかるコスト
投資信託の運用にかかる費用は、信託報酬と監査報酬、売買委託手数料の3つです。
信託報酬は運用管理費用とも言い、運用を行うファンドへの報酬となります。監査報酬はファンドが監査を受ける際に必要になる費用、売買委託手数料はファンド運用のために株式などを売買する際にかかる費用です。
これらは全て、所有している投資信託の信託財産から自動的に支払われます。
投資信託の種類
投資信託には大きく分けて、インデックスファンド・アクティブファンド・バランスファンドがあります。それぞれの特徴を見てみましょう。
インデックスファンド
インデックスとは、市場全体(もしくはあるグループ全体)の値動きを1つの値にまとめた指数のこと。日経平均株価やTOPIX、NYダウなど、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
例えば、人気のインデックスであるS&P500は、アメリカのニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQの中で、代表的な大型株500銘柄の株価をもとに算出されています。AppleやMicrosoft、Amazonなど誰もが知っている企業も含まれます。
このインデックスを指標(ベンチマーク)として、その値に近付けるように運用しているのがインデックスファンドです。つまり、インデックスファンドは市場の動きに近い値動きをします。市場が上向いているときはインデックスファンドも上向き、市場が下がっていればインデックスファンドも落ち込むといった具合です。良くも悪くも、市場と大きく変わることはないのが、インデックスファンドの特徴です。
アクティブファンド
アクティブファンドは、日経平均株価やNYダウなどの指数を上回ることを目標に、運用されるファンドです。インデックスファンドは指数に近付けることが目標でしたが、アクティブファンドはそれ以上の利益を追求して運用されます。そのため、相場が下落しているときでも、指標以上のリターンを期待ができます。
バランスファンド
バランスファンドは、株式・債券・不動産(REIT)など複数の投資先にバランス良く投資をして運用されます。インデックスファンドやアクティブファンドは、株式や債券などそれぞれを指標としているため、株式に100%あるいは債券に100%と投資先の資産は1つです。
一方で、バランスファンドのメリットは、投資先が分散されるためリスクを回避できる点です。どの投資先に何%投資するのかを自分自身では決められないというデメリットもありますが、投資初心者でもリスク分散して投資ができます。
投資信託の選び方のポイント
初心者が投資信託を選ぶときに見るポイントは4つだけ。運用方針と投資先の資産、地域、コストです。
運用方針
インデックスファンドとアクティブファンド、バランスファンドの3種類の中から、あなたの運用方針と合うものを選びましょう。
より大きなリターンを求めるのならアクティブファンドを、1つのファンドでバランスの良い投資をしたいのならバランスファンドを選びます。
ここで注意しておきたいのは、指標を上回ることを目標にしているアクティブファンドでも、実際に指標を上回って運用できているファンドは少ないということです。インデックスファンドの方が、運用利益が高いと言われることもあります。
バランスファンドは投資先が分散されるためリスク回避にはなりますが、投資先資産の割合はファンドが決めるため自由度が下がります。ただし、リスク分散はしたいけど、別々に投資信託を決めて運用するのは難しいという初心者にはおすすめです。
リスクを小さくしたい→バランスファンド リスクをとってもリターンを大きくしたい→アクティブファンド リスクはなるべく小さくしたいけどリターンも欲しい→インデックスファンド |
投資先の資産
投資信託の投資先には、株式や債券、不動産(REIT)、コモディティ(金・原油・大豆など)があります。この中では、債券が一番リスクが低いです。
株式投資:株式会社が資金を募るときに発行する株式を購入すること。 債券投資:国や企業が資金を募るときに発行する借用書を購入すること。株式と違って返済義務があるため、元本が保証されている。 コモディティ投資:商品先物市場で取引されている原油やガソリン、金、プラチナ、大豆、トウモロコシなどの商品に投資すること。 |
なお、バランスファンドでは投資先を分散して運用してくれますので、自分自身で投資先を決める必要はありません。
地域
投資信託では、日本国内だけでなく海外にも投資をすることができます。
投資先の地域は、日本・米国・欧州・新興国など全世界に及びます。一カ国だけに投資する投資信託もあれば、「先進国」というくくりで主要先進国の複数の地域に投資する投資信託もあります。中には、「全世界(オールカントリー)」と言って、世界中の多数の地域に投資をすることもできます。人気の投資先は、米国株式や全世界(オールカントリー)です。
コスト
投資信託を選ぶ上で、最も重要なのがコストです。
特に信託報酬が高い投資信託は、いくら運用利益が高くても実際のリターンは少なくなります。一概には言えませんが、頻繁に銘柄の入れ替えをしているアクティブファンドは、インデックスファンドよりもコストがかかります。
また、インデックスファンドの中でも、外国株式や海外債券など、為替の影響を受ける場合はコストが高くなることもあります。投資信託を選ぶときは、とにかくコストの低い投資信託を選ぶことがポイントです。
投資信託の選び方の流れ
投資信託を選ぶときのポイントが押さえたら、実際に投資信託を選んでみましょう。
ここでは、投資信託の選び方を具体的に解説します。
運用方針を選ぶ
まず初めに、インデックスファンドかアクティブファンド、あるいはバランスファンドの内、どれに投資するかを選びましょう。
投資信託が初めての場合は、インデックスファンドかバランスファンドがおすすめです。ここでは、インデックスファンドとバランスファンドの選び方を解説します。
インデックスファンドの場合
インデックスファンドを選ぶ場合は、次に投資先の地域を決めましょう。
日本か、海外(一カ国なのか複数国なのか)です。もちろん1つに絞らずに複数の投資信託を買って、あなただけのポートフォリオを作成することもできます。なるべく多くの国に投資をしたいのなら、全世界(オールカントリー)という投資信託もあります。
投資先の国が決まったら、今度は投資先の資産を選びます。
主に、株式や債券、不動産(REIT)です。特徴としては、債券は比較的リスクが低く、株式は債券よりもリスクが高くなります。ただし、リスクが高い分リターンも大きくなりますので、ある程度のリターンを期待するのなら株式がおすすめです。
その後、目標とする指標を確認します。人気の指標は、米国株式ならS&P500、全世界株式ならMSCIです。
バランスファンドの場合
バランスファンドは国内外株式・債券・不動産など、どの資産にどれくらい投資する投資信託かを確認します。また、4資産均等や8資産均等など各資産に均等投資するタイプだけでなく、株式重視型や債券重視型などもあります。
多少のリスクをとってもリターンを期待するなら株式重視型、リスクを低く抑えたいのなら債券重視型を選ぶと良いでしょう。均等型、重視型どちらにしても投資先の数が多い方がリスク分散になります。
投資信託を絞ったら必ず確認すること
最後に、信託報酬を必ずチェックしてください。
証券会社の投資信託検索画面では、信託報酬の安い順に並び変えることができますので利用しましょう。信託報酬は高くても1.5%以下の投資信託を選びます。2%を超える信託報酬は高いと言えます。
最近は信託報酬の低いファンドが人気のこともあり、0.5%以下の投資信託も増えています。もちろん信託報酬が安いからと言って、リターンが少ないという訳ではありませんので安心してくださいね。
以下に投資信託のコスト確認の例を示します。
投資信託のページで手数料タブをクリック
信託報酬の矢印をクリック
これで、投資信託を信託報酬の安い順(あるいは高い順)に並び替えることができます。
人気のある投資信託
人気がある=リターンが高い、という訳ではありません。ですが、人気があるということは運用資金となる純資産残高が大きくなるので、その分効率的に運用がなさると考えて良いでしょう。
また、人気のある投資信託はコストが低い傾向にありますので、投資信託を選ぶときに他の投資家がどのファンドを選んでいるのか参考になります。
ここでは大手のネット証券会社である「楽天証券」と「SBIネット証券」で、人気のある投資信託をご紹介します。
楽天証券
1位 楽天・全米株式インデックスファンド 2位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 3位 楽天日本株4.3倍ブル 4位 eMASIS Slim 全世界株式(オールカントリー) 5位 たわらノーロード先進国株式 |
*参照:2020年8月24日現在 楽天証券「買付金額(週間)ランキング」
SBIネット証券
1位 SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド 2位 SBI日本株4.3ブル 3位 ニッセイ外国株式インデックスファンド 4位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 5位 iFreeレバレッジ NASDAQ100 |
*参照:2020年8月24日現在 SBIネット証券「販売金額人気ランキング(週間)」
初心者におすすめの投資信託5選
ここまで投資信託の選び方を解説してきましたが、「正直どれを選べば良いのかわからない」「もっと具体的にどれがおすすめなの?」という方も多いでしょう。ここでは、そんな投資初心者の方におすすめできる投資信託を5つご紹介します。
eMAXIS Slim 米国株式S&P500
人気のS&P500を指標としているインデックスファンド。その中でも特にコストが低くておすすめなのが、eMAXIS Slimシリーズの米国株式S&P500です。その信託報酬は0.0968%と、なんと0.1%以下になっています。
先に説明した通り、S&P500はアメリカの有名企業を含む大型500銘柄で運用されていて、初心者でもマクドナルドやAppleの株式を持つことができます。
たわらノーロード 先進国株式
アメリカだけでなく、主要な先進国に投資したいなら先進国株式インデックス。中でも信託報酬が0.10989%と低く、購入・換金手数料が無料のたわらノーロード先進国株がおすすめです。
たわらノーロード先進国株式は、日本を除く先進国に投資して、MSCIコクサイ・インデックスを指標として運用されています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
eMAXIS Slim全世界株式は比較的新しい投資信託で、MSCIオールカントリー・ワールド・インデックスを指標に運用されます。日本を含む先進国から新興国まで、全世界に投資できるのが特徴です。信託報酬も0.1144%と安く、全世界株式インデックスファンドの中で特におすすめできる投資信託です。
楽天・全世界株式インデックスファンド(楽天VT)
投資家の間で人気の、アメリカ大手運用会社バンガードのバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)に投資するインデックスファンド。このVT、通常は海外株式取引で買付をする必要がありますが、なんと楽天がVTに投資できるインデックスファンドを作ってしまいました。
信託報酬は0.212%と安くはないのですが、人気の米国ETFであるVTが日本円で気軽に買えるとあって、人気の投資信託となっています。
投資先はその名のとおり全世界に投資するため、リスク分散ができるので、全世界株式インデックスに投資するなら選択肢に入れたい投資信託です。
ニッセイ インデックスバランスファンド(4資産均等型)
バランスファンドの中では、ニッセイのインデックスバランスファンド(4資産均等型)がおすすめ。国内と海外の株式・債券それぞれ25%ずつに投資するので初心者にもわかりやすく、信託報酬も0.154%と低いのが特徴です。インデックスを指標として運用されるのが特徴で、リスクの高い新興国は含みません。
投資信託の選び方とおすすめの投資信託 まとめ
この記事では、投資信託の選び方とおすすめの投資信託を5つ紹介しました。もう一度、選び方のポイントと手順をおさらいしましょう。
投資信託を選ぶ4つのポイントは以下のとおり。
・運用方針 ・投資先の資産 ・投資先の地域 ・コスト |
投資信託を選ぶポイントがわかったら、実際に証券会社の投資信託銘柄ページを開いて、下の手順で選んでみましょう。
1.インデックスファンドかバランスファンドかを決める 2.インデックスファンドを選んだ場合:どの地域のどの資産に投資するかを決める バランスファンドを選んだ場合:投資する資産の数を決める 3.最後にコスト(信託報酬と売買手数料)を確認する |